後遺症の損害賠償には後遺症による逸失利益と後遺症に対する慰謝料があります。
後遺症の損害賠償を請求するには1級から14級まである後遺障害等級に認定されることが必要となります。
後遺障害等級の認定
症状固定後に医師から書いてもらった後遺障害診断書を保険会社経由で損害保険料率算出機構に提出して、後遺障害等級の認定をしてもらいます。
一般的には、損害保険料率算出機構で認定した等級に任意保険会社も従うことになっています。
後遺障害については後遺障害等級表をご覧ください。
後遺症の損害=後遺症による逸失利益+後遺症に対する慰謝料
後遺症による逸失利益=収入額(年収)×労働能力喪失率×中間利息控除係数
逸失利益:事故に遭わなければ得られたはずの収入 | |
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収入額 | 原則、事故前の現実収入額となるが、現実収入額以上の収入を将来得られるという証拠を示すことができれば、その金額で算定 される。 |
労働能力喪失率 | 下記の後遺障害等級に対応する労働能力喪失率を基準として、職種、年齢、性別、障害の部位・程度、減収の有無・程度や生 活上の障害の程度などの具体的稼動・生活状況に基づき、喪失割合を定める。 |
労働能力喪失期間 | 原則、就労可能年限までとなるが、比較的軽度の機能障害や神経障害については、その内容・程度と労働・社会生活への適 応見込みなどの具体的状況により、喪失期間が限定されることがある。 |
中間利息控除係数 | 労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数。 |
労働能力喪失率表 | |||
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1級 | 100% | 8級 | 45% |
2級 | 100% | 9級 | 35% |
3級 | 100% | 10級 | 27% |
4級 | 92% | 11級 | 20% |
5級 | 79% | 12級 | 14% |
6級 | 67% | 13級 | 9% |
7級 | 56% | 14級 | 5% |
中間利息の控除
逸失利益では将来得るはずの利益分を現在受け取るので、中間利息を差し引かなければなりません。
例えば今後20年間の収入3000万円を今受け取り、これをもし運用したとすると20年後には3000万円プラス利息となり、被害者は損害以上の賠償額を受け取ることになります。
中間利息の控除は年間の減収分に中間利息控除係数をかけることで行います。
中間利息控除係数にはホフマン式(単利計算)とライプニッツ式(複利計算)の2種類がありますが、現在ではライプニッツ式が主流です。
詳しくは中間利息控除係数をご覧ください。
ただし、後遺症があっても、現実に収入の減少がない場合は逸失利益は認められませんが、その分慰謝料が何割か増額されるケースがあります。
慰謝料:精神的な苦痛に対する損害賠償 | |||
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1級 | 2600万円~3000万円 | 8級 | 750万円~870万円 |
2級 | 2200万円~2600万円 | 9級 | 600万円~700万円 |
3級 | 1800万円~2200万円 | 10級 | 480万円~570万円 |
4級 | 1500万円~1800万円 | 11級 | 360万円~430万円 |
5級 | 1300万円~1500万円 | 12級 | 250万円~300万円 |
6級 | 1100万円~1300万円 | 13級 | 160万円~190万円 |
7級 | 900万円~1100万円 | 14級 | 90万円~120万円 |
後遺症の慰謝料は傷害の慰謝料とは別に算定されます。
慰謝料の金額は後遺障害等級別に目安が定められており、この目安をもとに個別の事情を考慮して金額を決定します。